「根の国の話」(柳田國男)
柳田國男は「根の国」について、こう書いている。
1.南島のニルヤカナヤは、「根の国」と「根本一つの言葉であり信仰である」。
2.「それが海上の故郷であるが故に、単に現世において健闘した人々のために、安らかな休息の地を約束するばかりではなく、なおくさぐさの厚意と声援とを送り届けようとする精霊が止往し往来する拠点でもある。
3.その恩恵の永続を確かめるために、稲の作物の栽培を繰り返した。
こうも書いている。
根の国は、「安らかな、この世の人の往ったり来たりまでが、かつては可能と考えられていた第二の国」。ミミラクの島は、これと抵触するところがない。
こうも問いを立てている。ミミラクが「この世とあの世との境の島」だとしたら、それが「根の国」型に落ち着いたのはなぜか。で、これはミルヤカナヤと「根の国」を同一視しているので、MN音の通音の可能性が探られている。
ぼくの理解をいえば、「根の国」は、かつてのあの世のこと。その点では、「安らかな、この世の人の往ったり来たりまでが、かつては可能と考えられていた第二の国」という柳田の理解は、「第二の国」ではなく、「第一の国」とも言うべきこと以外は、その通りになる。
ただ、ミルヤカナヤはすでに遠ざかってしまっているので、「根の国」とは重ならなくなってしまう。
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