シャグジとスク
シャグジ空間が自ら生み出すものは童子なのであり、この童子の守りによって、芸能者は「へその緒」を得て、源泉である空間に自分をつなげておくことができる。シャグジ空間は、あの世(他界)の余韻を保ったままにこの世(現実世界)に出現をとげている。
楽屋でじっと身を潜めている芸人は、母親の胎内にいると観想しなければならない。そして幕を打って出る。これは出産の瞬間にほかならない。変身の芸能と胞衣は一体である。
胞衣であり、荒神であり、境界性の神であり、転換の神であり、メタモルフォーゼの神である宿神。
中沢新一が、『精霊の王』で抽出した「宿神」や、それの住まうシャグジ空間や、後ろに控える食人王などの要素を「珊瑚礁の思考」は、動物としてみることができる。
シャグジ空間は海と連なったサンゴ礁であり、胞衣はジュゴン、そこから誕生する宿神はスクであり、後ろに控える人食い王は、海の主としての蛇である。スクが境界神としての性格も持つことにもシャコ貝が控えていることのつながりを感じさせる。
プレまれびととも言うべきスクは、やがて来訪神として出現することになる。南島の来訪神が、水によってスデルということは、胞衣をかぶって出現する荒神にアナロジーさせることができる。
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