「みみらく考」(松田修)
松田修は、「みみらくの島」が、「死者に逢える島」に噛みついてる(「萬葉」75号1971)。
死者に逢える伝説の島は、福江島に比擬されているけれどそれとは別の神秘的な島がイメージされているというに留まるのではないか、と。現実の福江島は、「それは決して、死者再見の聖なる島みみらくそのものではないのだ」。
松田は山中耕作の文章を引いている。
しかしこの作者の「みみらくのしま」に関する地理的知識は、半島、岬といった地形をなしているいまの三井楽を、島あるいは山と誤ったものであり、さらに「いづことか音にのみきく」というような曖昧なものであった。
これは、実際の「みみらくの島」が、遠隔化されたことにより、「半島」「岬」が境界部になったことを示している。「みみらくのしま」とは、かつての他界そのものに他ならない。
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