「干ノ瀬(カンノビシ)」
那覇沖の堤防の下には、「干潮時になると、大きな二つのサンゴ礁が顔を出す」(目崎茂和『南島の地形―沖繩の風景を読む』)。
古くからの漁場であり、北側は「自謝加瀬(ジイジャカビシ)」、南側は「干ノ瀬(カンノビシ)」と呼ばれている。
古来から堤防はなくても那覇の街を、この二つの台礁で波を砕き高潮を防いできたことは明白だ。そして那覇を沖縄一の港にしたのも、この礁の存在であったことは忘れてはならない。
「干ノ瀬(カンノビシ)」は、「カミの干瀬」で、かつての「あの世」だったことを示すものだ。埼桶川貝塚の島人にとっての他界だろう。「カミの干瀬」は、港のはじまりの場と身をやつすことになった。
今年二月に行ったときには、当時の海際の地形しか分からなかったが、島人はその向こうに干瀬をあの世として見つめていたのだ。(参照:「埼樋川貝塚と吹出原遺跡」)
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