シャコ貝とヒザラ貝
『徳之島民話集』(水野修)には、「ギブ貝」に挟まれて溺れかける男の民話が載っている。海に姥捨てをしようとした男が、ギブ貝に挟まれて溺れる。許しを乞うとギブ貝が口を開いたので、男は助かり老人を大切にするようになったという話し。
『沖永良部島昔話』(岩倉市郎)には、ヒザラ貝が出てくる(「ひざら貝になった男」)。ニラの島に行った男が、三日経って帰ってみると、両親が亡くなっていた。ニラの島でもらったクヂマ(ヒザラ貝)の背中の殻を外したら、自分がクヂマになった、という昔話だ。
これらは、奄美でもシャコ貝がトーテムであったこと。ヒザラ貝もトーテムだったことが分かる。
カミ(精霊)と人間の関係は、ヒザラ貝と人間の関係に等しい。面白いのは、ニラから帰った男が、ヒザラ貝の殻を取る(玉手箱を開ける)と、老人になってしまうのではなくて、貝トーテムに戻ってしまうことだ。ここでは反復する時間が生きている。
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