男性植物と女性植物
「沖縄・国頭村安田シヌグの祭祀植物ゴンズイ(1)」(新里孝和、芝正己)から、植物の性別名称を見てみよう。
男性
・クカ・クガ・クガー・クーガー・フガー(ナシカズラ;睾丸の意で果実の形と色が皐丸に似ることに由来)
・クガー・マヤークーガ(タマシダ;皐丸・猫の睾丸)
・クーガヤマン(ハリイモ;睾丸に似た山芋)
・タニハンキー・マラハンカー(ノボタン;亀頭の包皮を反転させる意)
・マラウイフサ(ナンパンギセル;マラ起きる草)
・ンマヌマラチン(トウモロコシ;馬のマラきび)
女性
・ホーギ(ホーギー・ポークサギ、新里メモ 2003年 2月、イボタクサギ;女性陰部の木の意でこの木の葉を揉めば悪臭を発することに由来、ハマゴウ;同)
・アンマーチー・アンマーチチ・ンマガツゥギ(アカテツ;お母さんのお乳・お乳の出る木)
・フォーフッカギー(オオパイヌピワ;女性の性器が腫れる木の意でこの木の樹液が女性の性器に触れると性器が腫れることに由来)
・アンマーチーギー(イヌビワ;お母さんの乳房の意で果実の形態が乳房に似ることに由来)
男女
・ホーフックヮー・マラフックヮー(ミフクラギ;陰部にその木の樹液をつけると陰部が腫れる)
・ポークスイク・マラクスイク(シキミ;女陰糞モッコク・マラ糞モッコクの意)
・ハーメークーギ・フギクサ(イタチガヤ;お婆さんの陰毛に似た草)
・ピィーミーワサ・マラミーウサ(ハマボ、ツス;女性・男性の性器を見る草)
新里、芝もこれは例として挙げているのだけれど、本当はもっとあるのだ。
植物では名指しできないけれど、イモガイが、
・ブディフ、ブテフ(八重山)
・ブドウ(奄美大島大和村)
・ブトンニャ(奄美大島)
こう呼ばれるのは、男性器貝のことだとすぐ思うのだが、どうもそれは与論人であるかもらかもしれない。『図説琉球語辞典』によれば、男根をブトズ系で呼ぶのは、与論島と久米島鳥島だけなのだ。
中本正智は、「ブトゥ系の語源は未詳」だとしている。しかし、これは八重山で男性を表わすビキ系の言葉だと見なせばいい。
それはヱケリにつながる。bikidun > wikidun > wekeri
中本は、ビキドモ系は、「分析的には、エケ weke と ドモ domo(供)にさかのぼる」としているが、「供」を持ち出さなくてもいいのだと思える。
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