「「森神」にみる死霊観」(徳丸亞木)
「森」を必ずしも祖霊信仰と関連しない死霊の祭場とする事例は広範に見られる。その死霊は開墾によって拓かれた土地の地霊的な性格も帯びる。そして地霊や水神が動物の姿で表象され、「森神」として祭祀されている例がある。
山口県の美祢郡秋芳町の江原集落。
ヤムシノモリサマ(蛇のモリサマ)とヒキノモリサマ(蛙のモリサマ)。神体は、それぞれ神木と石灰岩柱。モリサマには、守護神伝承と祟り神伝承が併存する。
ここには、開墾した土地の地霊を祭祀する観念が存在するものと思われる。また、開拓始祖祭祀をする場合も、
開墾に際し、その土地を占有していた地霊そのものを動物霊として表象し、直接「森神」の祭神として慰撫・祭祀する動物霊祭祀の「森神」に対して、開拓始祖祭祀の「森神」では、地霊を鎮圧した開拓始祖の祭祀を通じて間接的に地霊の祭祀を行っているのではないかと思われる。
「死霊の祖霊化儀礼」。
徳丸の文章は、琉球弧のカミヤマ、モリヤマに対しても示唆が多い。
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