『琉球列島植物方言集』(天野鉄夫)
『琉球列島植物方言集』(天野鉄夫)から、植物の琉球語を見てみる。
・マオ(アオカラムシ、カラムシ、ラミー)の琉球語は、
ウーベー 沖縄(辺戸、首里)渡嘉敷
ブー 石垣、西表、竹富、与那国
ブバイ 宮古、伊良部
と、ブー系だは、ウーベーと呼ばれているのが興味深い。与論では、モー。
・ハドノキも、
カーウーベー 沖縄(東江)
ハーウベファ 沖縄(安田)
と同様の音。「川辺に生えるカラムシ」と説明されている。
・リュウキュウツチトリモチ
ティラヌボーズナ 石垣
アカバンカー 沖縄(知念)
「アカバンカーは、陰茎が赤く包皮が反転した意」。リュウキュウツチトリモチは男性器であるとともに太陽だ。
・スベリユヒ
ティダナ 奄美大島(笠利)
テーンヤ 与論
・ゴンズイ
ミィハンチャー 沖縄
ミィハンチャーは、「瞼をうら返すの意で、ゴンズイの果実の裂開している状態が瞼をうら返したような感じがすることに由来」。
・ホウセンカ
ティンサグ 沖縄(首里)、久米、西表、宮古、石垣
トビシャゴ 奄美大島
カーキーバナ 喜界島
貝のティダラとトゥビンニャと呼応している。これは、太陽が、沖縄ではティダ系、奄美ではテルコ系で呼ばれることに由来しているように見える。
・オオハマボウ
ユナ 慶良間
ユーナ 奄美大島、沖縄、久米、伊平屋、宮古、石垣
「ユナギ・ユーナギーは、ユナに生える木の意。海辺近くの沖積地をユナといい、この木がユナに生えることに由来」。
・ハマゴウも、
ユナギ 奄美大島(宇検)
と呼ばれることがある。
また、
ホーギ 奄美大島、沖永良部、沖縄(安田)
と女性器でもある。ヤエヤマハマゴウは、「カニン(石垣)、ホーギ(奄美大島、徳之島(天城)、沖永良部、沖縄」。
ハマボウもハマゴウもユナに生える木だが、ハマゴウになると「太陽-女性」のシンボリズムが働いている。
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