南琉球のトカゲ語彙(野原三義「琉球方言の動物語彙(南琉球)」)
野原三義の「琉球方言の動物語彙(南琉球)」(『国文学年次別論文集 国文学一般平成18(2006)年』)で、トカゲを見る。
宮古
トカゲ。bakagiza(西里、肉は蛙みたい。キシノウエトカゲも含まれるか。新里、畑にいる。豚に食わしていた。いい匂いがする)。バカッツァ(佐和田、キシノウエトカゲも同じ)。NR (狩俣。佐良浜。与那覇)。
キシノウエトカゲ。bakagiza (西里。新里。友利。トカゲとの区別せず)。ba:bigasa(狩俣、海に入ってkatsiになった り、逆で あったりするという言い伝えがある。よく食べたとのこと)。バカッザ(保良、ひきつけの薬。jatsifusa [ヨモギ]と一緒に炊いて子供に食べ さすと 頭がよくな る)。 パカッツァ(佐和 田)。tsinagizasa(与那覇)。NR(佐良浜)。 トカゲとキシノウエトカゲは区別しないのが普通 の よ うである。
八重山
キノボリトカゲ。Φudadzimi(川平)。ku:su:faja:(祖納)。bagira(宮良、ただしトカゲ、キシノウエトカゲを含む)。アンパレ(白保、トカゲも同じだが区別する場合はピテギヌアンパレ(畑の~)、キーヌアンパレ(木の~)という)。NR(古見)。
トカゲ。tsimera(川平、キシノウエトカゲを含む)。kine:ra(小浜、時期になるとカタカシになる)。ボチナ(祖納、キシノウエトカゲも含む)。バガドゥ(与那国)。上記のように宮良はbaglra、白保はアンパレ(区別する場合はピテギヌアンパレ)である。
発音記号は不正確だが仕方がないとして。
これらをみると、トカゲとキシノウエトカゲは区別されていない。小浜では、トカゲは時期になるとカタカシになると言われている。狩俣では、キシノウエトカゲが海に入ると、katsiになるとあるが、これが何の魚かは分からない。ただ、「ハイヌ(畑の)グルクン(久貝勝盛)」の記述をみると、カタカシなのかもしれない。
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