空飛ぶ蛙はどれか
「井戸ヌパタヌ子蛙誦言」(祖納)にいう「子蛙」は、どのカエルだろうか。
井戸ヌパタヌ 井戸端の水溜りに棲む
アブダーマ 子蛙が
パニバムイ 翅が生えて空へ
トゥブケー 飛ぶ永い年月のように
バカケラ生命(イヌチイ) 吾等全村人の生命は
島トゥトゥミ 島のあらん限り
アラショウリ 永久にあらしめ給え(『八重山古謡(下)』
井戸端にも棲む可能性があるのは、ハロウェルアマガエル、サキシマヌマガエル、ヤエヤマアオガエル。
蛙は雨を呼び、蛇に食べられるから、空を飛ぶのは蛇になるのを意味するのだとすると、サキシマヌマガエルの背中線が気になる。
一方で、翅が生えるのを蝶への変態と見なすこともできる。蛙は死に近い動物だ。天敵はサキシマハブだから、蛇とのつながりもあり、蛙自体もトーテムに近い存在として見られた痕跡もある。そういう意味では、人間に近い動物であり、それが化身するものといえば、蝶の可能性もあるわけだ。そういう眼でみると、ヤエヤマアオガエルが歌謡の蛙なのかもしれない。
本には、クワズイモの葉で眠る成体の写真が載っている。
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