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2016/09/03

「アメノウズメの女陰とヒラブ貝」(吉田敦彦)

 サルタヒコを溺れさせたヒラブ貝について吉田敦彦は書いている。

 ヒラブ貝が果たした役割は、天の八衢でのアメノウズメの働きと重なりあう。「つまりこの貝には、女神の化身である性質が看取できると思われるのだ」。

このようにして女性器の威力によって、サルタビコに天孫降臨に当たって天界と地上の橋渡しをさせたアメノウズメは、そのあとアザカの海では、女陰そのものを表象することが明らかと思われる、巨大な二枚貝に化身して、サルタビコを捕まえて放さずに溺れさせた。そしてこの場面でもやはり、彼女の女陰の持つ絶大な威力を発揮して、この大神に陸と海を橋渡しする、媒介者の役割を果たさせたのだと思われる。

 この連想に説得力があるのは、アメノウズメも蛇と貝の子だからに他ならない。だから、アメノウズメはヒラブ貝に化身したのではなく、同位相にあるサルタビコは母の母体に戻っていったわけだ。
 

『東アジアの古代文化 137号(最終号) (137) 特集 東アジアの古代文化成果とゆくえ』


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