「円に十字」の文様
市川重治は、「南島婦人の入墨(三宅宗悦)」で、丸に十字(円形の中に十字が内接)の形を「盥(たらい)」とよばれているのに奇異な印象を受けるが、多良間島ではそれをアデマと呼び、それが「豆腐を製造するとき豆をする石臼をたらいに支える支柱のことである」と聞き取りしている。
そこで市川はこう書いている。
そうすると多良間島では十字形の針突文様は禁忌を表わすものではなくして、豊かさの象徴となるのではあろうか。(『南島針突紀行』)
これはとても重要な示唆ではないだろうか。
つまり、この「円に十字形」の文様は、元をたどれば「シャコ貝」を現わしたものだ。しかも臼は女性器でもあるから、象徴化のつながりも見い出せる。
ここから見れば、左手尺骨頭部の文様は、貝として出現し、アマンへと引き継がれたことになる。
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