「旅人をして之を抱かしむ」(柳田國男)
酒井卯作は、『南島旅行見聞記』で、柳田國男が伊計島について、
イチクマ(村)のハーメー、旅人をして之を抱かしむ
と書いているのを受けて、書いている。
島に入ってくる旅人はなぜこの夫婦石を抱くのだろうか。一説には旅に出る者もこの石に詣るという。たんなる外敵を防ぐというだけのものではなく、もっと深い宗教的な意味があったかもしれないのである。(『柳田国男と琉球』)
「旅人」はただの観光客ではなく、神でもあったのだから、これは、来訪神が立ち寄る地の島と同じ意味を持つと思える。つまり、この海岸のふたつの石は、琉球縄文期の「あの世」あるいはあの世への境界部だったということだ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント