「八重山歌謡に見える植物」(山里純一)
アダンの新芽からは豊年祭のときにはスナイ(みそあえ)を拵えて神前に供える。八重山の開闢伝説では、アダンの林のなかから男女が地上に現われて、アダンの実を食べて命をつなぐ。このときに人間に先だったものは、ヤシガニでもあったのだろう。
八重山には、死体化生を歌ったジラバがある。船の材料になる材木に化生している。詳しく調べてみよう。
「かねーら・かにん」。ハマゴウのこと。これは、方名が気になる。
「くにぶん」。実が小粒のときに採って乾燥させて糸を貫いて首にかける玉をつくる。であれば、シークヮーサーも神聖な植物だったのだ。
「ぴんにき」。オヒルギ、アカバナヒルギ。マングローブ林に生える常緑の高木。
西表島祖納の「井戸ぬ端ぬあぶだーまユングトゥ」。
ぶし木に下らぬ ぶし木の下に棲息している
きぞがま きぞがま(シジミの一種)が
ぴーに下り ぎらなるけ 珊瑚礁に下りて シャコ貝になるまで
我がけーらぬ生命 私たちの命も
島とぅとぅみ あらしょうり 島とともにあらしめてください。
ここでの「ぶし木」もヒルギのことだという。シジミもシャコ貝になる。貝たちがシャコ貝の子とされているのがよく分かる。
「ゆな(ゆうな)」は、「意外なことに古謡で謳われることはあまりな」い。
「ぶー(苧麻)」。苧麻が栽培されるまでは、山野に自生するオンカラムシを利用していた。繊維のこともブーと呼ぶ。
山里のこの資料は、植物について視野を広げてくれて、ありがたい。cf.「八重山歌謡に見える植物」(山里純一)」
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