琉球弧各諸島のシマウタ
中曽根幸一の『琉球弧の民謡入門「しまうた」流れ』から、奄美、沖縄、宮古、八重山のシマウタの形容を探してみる。ウタの属性ではなく、どのような印象をもたらすかという点にフォーカスして。
沖縄は、「明朗かつ雄大であり、悲調にして優美」と形容も多い。宮古はアーグ(アヤグ)を基準に「優雅」と書かれている。「味わい深い」とも。
八重山は「情感深く」と。これは、ゾメキはほとんどないのと対比して言われている。奄美は「哀愁」。
これだけでは直観的には分かりにくいので、属性の特徴を挙げてみる。
沖縄のは、「仕事歌より恋歌が圧倒的に多い」。また、「海に囲まれている沖縄は、どういうわけか海に関する歌が極端に少ない」。宮古は「物語性」を伴う。
ユンタ、ジラバは”野の調べ”といわれ、八重山の歌の本体ともいうべき歌謡」。男女混成で二組に別れ、交互にうたう。奄美は「魂と魂の語り合い」。「情感深い物語歌」で、「奄美独特の裏声の世界は、人々を激しく揺さぶらずにはおかない」。
中曽根の挙げている特徴を言えば、恋歌の沖縄、物語歌の宮古、労働歌の八重山、信仰歌の奄美になる。
宮古と八重山については、歌遊びの主なシマウタの曲順が挙げられていて面白い。
・宮古
トーガニアーグ
根間ぬ主
豆が花
なりやまアヤグ
伊良部トーガニ
クイチャー
・八重山
赤馬節
しゅうら節
鷲ぬ鳥節
小浜節
月ぬまぴろーま節
とぅばらーま
六調
弥勒節
やらよう
典型的な歌遊びの曲順を聴き比べれば、それぞれの特徴はとく分かるのかもしれない。
奄美だと、
朝花節
俊良主節
黒だんど節
嘉徳なべ加那節
六調
(「奄美島唄物語」)
沖縄は、かぎやで風、ナークニー、唐船ドーイなどのカチャーシーが入るだろうけど、典型的な曲順として言うとどうなるのだろう。
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コメント
昨夜は久しぶりに『男はつらいよ 寅次郎紅の花』を観てました。
リリーが加計呂麻島に渡る古仁屋港のシーンで流れる元ちとせの『♪ 朝花節』はいいですね。なんか背中がゾクゾクします。
沖縄の者にとっても奄美の唄は郷愁に近い感覚を覚えますね。
新民謡?では与論発祥の『♪ 十九の春』も外せません。この曲ほど琉球弧で愛されているポピュラーミュージックはないですよ。
投稿: 琉球松 | 2016/09/24 11:44
さすが琉球松さん! ちょうど沖縄のナークニー、宮古のトーガニアヤグ、八重山のトゥバラーマと並べると、奄美は何だろうと考えているところでした。
朝花なのかもしれないですね。
投稿: 喜山 | 2016/09/25 08:41