« 「円に十字」の文様 | トップページ | 「旅人をして之を抱かしむ」(柳田國男) »

2016/09/08

「アースダイバー アヅミの神道(13)」(中沢新一)

 中沢新一は、甲州と南紀の丸石神について比較している。

 甲州のそれ道祖神として、三叉路や小字の境などに設けられるのがふつうで、なんとなく場違いな感じを抱かせる。ところが南紀のそれは、村から離れた川沿いの場所に楠や欅の巨木がそそり立ち、その根元などに立派な石の基壇が築かれ、その上に鎮座している。

 両者は意味合いが異なる。

甲州の道祖神場には、生まれたばかりの童子としての太陽をあらわす丸石が、神として祀られた。
 丸石神の故郷である南紀では、その丸石が独立自存の至高の神として、威厳ある祭場に祀られたのである。この丸石神は。どう考えても、童子としての太陽である。

 これを琉球弧の方からみれば、丸石神は、シャコ貝と同位相にある。道祖神として立てられることもあるシャコ貝は、甲州の丸石神に対応している。また、神社の古形に立てられた南紀の丸石は、御嶽に立てられたシャコ貝に対応する。すると、御嶽のシャコ貝も「童子としての太陽」を意味することになる。


|

« 「円に十字」の文様 | トップページ | 「旅人をして之を抱かしむ」(柳田國男) »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「アースダイバー アヅミの神道(13)」(中沢新一):

« 「円に十字」の文様 | トップページ | 「旅人をして之を抱かしむ」(柳田國男) »