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2016/07/03

『神の山へ―山岳宗教の源流をゆく』(久保田展弘、新妻喜永)

 『神の山へ―山岳宗教の源流をゆく』(久保田展弘、新妻喜永)から、備忘メモ。

 富士信仰の庶民への広がりは、16世紀、富士山麓の「人穴」にこもって修行した角行に始まる。

「人穴には大蛇が棲んでいる」とか「人穴の奥にはこの世が別の世界につながる侵してはならない場所だ」といわれてきた。水の溜まったその人穴に入って、角行は一辺が十五センチくらいに満たない四角の柱の上に立って、不眠の大行を遂げ、悟りを開いたと伝えられている。
 その悟りというのは、それまで恐怖の対象であった人穴を、人間の生まれかわりの聖所として位置づけ、洞窟を富士の山神の住む聖穴と説いたことだった。

 角行は見事に「人間の生まれかわりの聖所」にふさわしい場所を言い当てたわけだ。

 日本人の他界観の典型を示す山中他界が恐山であったわけだが、その他界が含む地獄・極楽のなかでも、恐山は日本海側の立山の地獄谷がそうであったように、地下他界(黄泉)であり、地獄世界と受け止められてきた。風景の異常はこうしていつも̪死の世界に結びつくことが多い。

 恐山、立山は地下他界と言われている。それは風景のなせる業かもしれないが、地下他界の伝承が残っていたのかもしれない。

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