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2016/06/11

「みみらくの島」

 「みみらくの島」が出てくるのは次のような箇所だ。

 かくて、十余日になりぬ。僧ども念仏のひまに物語するを聞けば、「このなくなりぬる人の、あらはに見ゆる所なむある。さて、近く寄れば、消え失せぬなり。違うては見ゆなり」、「いづれの国とかや」、「みみらくの島となむ言ふなる」など、口々語るを聞くに、いと知らまほしう、悲しうおぼえて、かくぞ言はるる。
 (道綱母)ありとだによそにても見む名にし負はばわれに聞かせよみみらくの島
と言ふを、せうとなる人聞きて、それも泣く泣く、
 (長能)いづことか音にのみ聞くみみらくの島隠れにし人を尋ねむ

 歌の部分は現代語訳では、こう書かれている。

 せめて亡き母がいるということだけでも遠くから見てみたいものです。耳を楽しませるというみみらくの島。その名前にあやかって母がいるかどうか私に聞かせてほしいのです。みみらくの島よ。

 話にだけ聞いているみみらくの島。その島に隠れている母上をいったいどこを目当てにして探したらいいのだろう。

 道綱母らは僧の噂話から「みみらくの島」を知る。十世紀のみやこでは既に、「あの世」の島のことは宗教者が伝承のような形で知るほどに消えかかっていた。

『蜻蛉日記〈1〉上巻・中巻―現代語訳付き』

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