「沖縄先島のオナリ神」(馬淵東一)
馬淵東一が黒島で採取した伝承。
昔、兄弟が南の海上に航するとき、姉妹がこれを私だと思えといって手拭を与えた。風波で船が大破し、姉妹の加護を念じていると、高瀬貝が沢山現われて、船の割目をふさぎ、無事に帰島したので、それを記念して高瀬貝の円錐形に模したクバ笠を始めて作り、現在に及ぶ(「日本民俗学」第三巻第一号、1955)。
この伝承では「針突き」のくだりは消失して、クバ笠の由来譚になっている。「穴から最初にトーテムが現われ、次に人間が出現する」という神話は、さまざまに変形されうるということだ。
多良間島の神話も、プロトタイプの神話が変形されて洪水型になっていると考えることができる。
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