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2016/05/20

「蝶・獣形製品と土器の相似」

 伊藤慎二によれば、土器編年と明確に対応可能な蝶・獣形製品の編年は、資料的制約から、現在のところ困難(「琉球貝塚文化における社会的・宗教的象徴性」)。

 しかしながら、伊藤が注目するのは、蝶形製品の上縁部の形態は、左右対称の波上に角ばった突起部分が連なる。これは、前Ⅳ期の「土器の口縁部に酷似する」。そこで伊藤は言う。

 蝶形製品もこの同時期に、土器口縁部突起とその直下の口縁部文様帯の意匠を祖形に創出されたものである可能性が極めて高い。

 土器口縁部の山形突起は世界各地に分布する。縄文文化の特徴でもある。しかし、「その意匠を他の器物に転用した例は北琉球以外では未確認」。

 これは、逆ではないだろうか。「蝶形骨器」の意匠がむしろ土器に応用されたのではないだろうか。「蝶形骨器」は「蝶」をモチーフにしているのであれば、具体的な動物があるのだから、そこから図形を編み出したと考えるのが無理はない。もっとも、伊藤は、「蝶形骨器」は「蝶」由来であることに疑問を呈してこう書くのだから、伊藤の意図は分かる。

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