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2016/04/28

『おもろさうし 古典を読む』(外間守善)

 外間守善の『おもろさうし 古典を読む』(1982)から。

八重山石垣市平得にウブオン(宇部嶽)と呼ばれる御嶽がある。ところがこの御嶽は、『琉球国由来記』(1713)では、ヲホ御嶽と記されている。つまり、ウブとヲホは同じ御嶽の名だということである。とすると、ヲホはオホ、オーとつながるし、ウブはオボ、オーブになりうる。「奥武」と記される聖域オーとオーブがこれで近い関係というか、同根である蓋然性がみえてくるわけである。勝連半島平安名の神歌ウムイが、ウーブの御願の中で、ウーブの嶽(奥武の嶽)、ウーブの山(奥武の山)と謡っていることは、その一つのあかしであろう。

 まず、聖域であるといなとにかかわらず、オーは地形・地勢としての地名に解体されなければならない。そのうえで、「ウーブの嶽(奥武の嶽)、ウーブの山(奥武の山)」というのは、平安名では地先の島と地先の山がかつて「あの世」だったことを示すと理解することができる。

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