トイレの神様
鶴藤鹿忠は『琉球地方の民家』(1972)のなかで、与那国島の便所神に触れている。
与那国島では厠神は一番親しい神である(比川)。厠、井戸、カマの神は兄弟である。この三神のうちで誰が厠神になるかといっても為手(つめて)がない。結局一番美人の神が厠神となった。綺麗な神だから綺麗にしないと怒られるという(祖納)。唾を吐いたら厠神の額にかかるから吐いてはいけない。長く坐っているのもいけない。汚いところにいる神で、えらい神とされた。井戸の石は厠に使われないが、厠の石は井戸に使えるともいう(比川)。久米島仲里でjは「フルヌカン」が荒れると豚は元気がなくなるので、そういうときに「フルヌカン」を拝む。「フルヌカン」は盲目である。「フル」の前で目の悪口をいってはいけないといっている。
厠神が美人なのは、与那国島だけではなかった。後年、沖永良部出身の祖母を持つ植村花菜は、「トイレにはそれはそれはキレイな女神様がいるんやで」(「トイレの神様」)と歌うのだから。
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