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2016/04/25

「奄美諸島の神山」(小野重朗) 2

 小野重朗の『南島の祭り』(1994)に挙げられている例について、認識が誤っていたので、再考する。

Photo_2

 山の他界の場合、ぼくは、

 (遠隔化された他界)→(かつての他界)→(集落)

 という行路を想定したが、ここに(神の降臨地)を加えなければならない。

 (a山頂:神の降臨地)→(b山:遠隔化された他界)→(c山:かつての他界)→(イビ)

 請島池地(#1)。

 ミヨチョン山→モリヤマ→(カミミチ)→ミヤ。

 この場合は、ミヨチョン山((a or b),or(a and b))であり、モリヤマ(c)となる。

 この解釈は、小野のいう「森山は聖地だからすぐれた人や祖先をそこに葬った例がある」という理解と合致する。

 オガミヤマは、地形、地勢を表わすモリヤマとは異なり、明らかに信仰地名だ。「神人たちが拝む山、祈願をする山」だから、(a)に該当している。同様のことは、オボツヤマにも言える。

 律儀に、a→b→cという行路が見られないのは、ここに同一化や不在の例があるからかもしれない。

 1)同一化

・a山頂とb山は同じである場合。遠隔化された他界の山の山頂が降臨地になる。

 2)不在

・他界が遠隔化されたのが、山ではなく、海上であった場合。この場合、存在するのは、c山だけになる。

 あるいは、同一化の方が、基本的な図として自然かもしれない。

 加計呂麻島瀬相(#10)では、モリヤマからもオボツヤマからも行路が存在する。これは、(かつての他界)→(集落)と(遠隔化された他界)→(集落)を示すものだ。ここのイガミが、モリヤマイガミ、オボツイガミ、テルコイガミとあるのは、

 モリヤマイガミ かつての他界
 オボツガミ、テルコイガミ 遠隔化された他界

 に対応していると考えられる。

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