ユナ・ユウナ・イノー・ザン・イヤ
ユナ系名称の音韻変化を辿ってみる。
ユナ(yuna) 砂州
ユウナ(yuuna) ハマボウ
・yuna → yuuna
イノー(inoo) 礁池
・yuna → iuna → inau → inoo
ザン(zan) ジュゴン
・yunanuiyu → dunanuiyu → duanuiyu → zuanuiu → zanuiu → zan(zyan)
イヤ、ヨナ、イザ 胞衣
・yuna → iuna → iua → iia → iya → ida → iza
イノーやイヤの場合の、yu → iu、 ia → iya のような分解や構成は、下記を参考にしている。
ya yu yo
wa woまず、「や」行の「y」は、ヨーロッパ語で「ギリシア語のi」といわれるように「い」に近い音ですから「イ」で表記すると、「や」行は「イぁ」=「や」、「イぅ」=「ゆ」、「イぉ」=「よ」となります。
同様に、「わ」行の「w」は「う」に近い音ですから「ウ」と書くと、「ウぁ」=「わ」、「ウぉ」=「を」となります。
このように「や」行音と「わ」行音」は母音の二つ重ねでしか出てきません。子音のなかではちょっと特殊な音と解釈すべきです。(吉本隆明「日本語の簡略化」)
また、ザンにおいて、「zan」と「zyan」を想定しているのは、「せんせい」が「しぇんしぇい」と発音されるような訛音化や下記を参考にしている。
ヤコブソンは閉鎖音のつぎにくる摩擦音を、オーストラリア、タスマニア、メラネシア、ポリネシア、アフリカ、南アメリカの原住語は欠いているという。日本語もまるまる摩擦音をもたぬとはいえないが、本来的にはサ行音(s音)のような摩擦音の発音はしづらい。またf音のような摩擦音は、ひと通りの意味では存在しないとみてよい。その意味ではオーストラリア、タスマニア、メラネシア、ポリネシア、アフリカ、南アメリカの原住語とおなじ発達段階の特徴を保存しており、その段階で停滞した言語の母音・子音の体系をつくりあげている。(吉本隆明「起源論」)
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