« 「魚になった木の葉たち」(秋道智弥) | トップページ | 『呼び覚まされる 霊性の震災学』 »

2016/03/03

ユナ・ユウナ・イノー・ザン・イヤ

 ユナ系名称の音韻変化を辿ってみる。

 ユナ(yuna) 砂州

 ユウナ(yuuna) ハマボウ
 ・yuna → yuuna

 イノー(inoo) 礁池
 ・yuna → iuna → inau → inoo

 ザン(zan) ジュゴン
 ・yunanuiyu → dunanuiyu → duanuiyu → zuanuiu → zanuiu → zan(zyan)

 イヤ、ヨナ、イザ 胞衣
 ・yuna → iuna → iua → iia → iya → ida → iza


 イノーやイヤの場合の、yu → iu、 ia → iya のような分解や構成は、下記を参考にしている。

 ya yu yo
 wa   wo

 まず、「や」行の「y」は、ヨーロッパ語で「ギリシア語のi」といわれるように「い」に近い音ですから「イ」で表記すると、「や」行は「イぁ」=「や」、「イぅ」=「ゆ」、「イぉ」=「よ」となります。
 同様に、「わ」行の「w」は「う」に近い音ですから「ウ」と書くと、「ウぁ」=「わ」、「ウぉ」=「を」となります。
 このように「や」行音と「わ」行音」は母音の二つ重ねでしか出てきません。子音のなかではちょっと特殊な音と解釈すべきです。(吉本隆明「日本語の簡略化」)

 また、ザンにおいて、「zan」と「zyan」を想定しているのは、「せんせい」が「しぇんしぇい」と発音されるような訛音化や下記を参考にしている。

ヤコブソンは閉鎖音のつぎにくる摩擦音を、オーストラリア、タスマニア、メラネシア、ポリネシア、アフリカ、南アメリカの原住語は欠いているという。日本語もまるまる摩擦音をもたぬとはいえないが、本来的にはサ行音(s音)のような摩擦音の発音はしづらい。またf音のような摩擦音は、ひと通りの意味では存在しないとみてよい。その意味ではオーストラリア、タスマニア、メラネシア、ポリネシア、アフリカ、南アメリカの原住語とおなじ発達段階の特徴を保存しており、その段階で停滞した言語の母音・子音の体系をつくりあげている。(吉本隆明「起源論」)

『吉本隆明 最後の贈りもの』

『母型論』

|

« 「魚になった木の葉たち」(秋道智弥) | トップページ | 『呼び覚まされる 霊性の震災学』 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ユナ・ユウナ・イノー・ザン・イヤ:

« 「魚になった木の葉たち」(秋道智弥) | トップページ | 『呼び覚まされる 霊性の震災学』 »