「ゆな」と「よな」(『方言俗語語源辞典』他)
『方言俗語語源辞典』の「ゆな」にはこうある。
ゆな →いのー。砂。砂利。岩手県下閉伊那。[考]南島八重山で、砂をイノー、石垣島で州をユーニという。千葉県武郡で、浜の砂をイナゴ、島根県松江で、砂浜をイナハマという。それらとの関係。熊本で火山灰をヨナというのとも関係あるか。 →よな。
で、「よな」には、「火山灰。熊本」と説明されている。
「よな」にはもうひとつある。
よな 胞衣。えな。大阪(浪花聞書)。[考]エナの語源ははっきりしない。大言海もエナは「胞幅(エノ)ノ転ニモアルカ・・・」といい、エ(胞)については「家の約カ・・・」といっている。(中略)関西でエナ、ヨナ、久留米でヤナ、九州でイヤ、喜界島でウワという。(後略)
ぼくたちは、「よな」と「えな」は同じであると見なしてきた。それは地名にも現われている。
柏崎市と上越市との境にある標高993mの孤立峰、米山。
米山は薬師如来をまつる山として有名であるが、平安時代初期の《大同類聚方》には、<恵奈山薬、越後国三志摩雄之家伝方也、元者少彦名神方也>とあり、米山がかつては恵奈と呼ばれていたことがわかる。(『世界大百科事典』)
米山で、「よな」と「えな」は二重性をなしている。
思うに、yuna と ena の発音は近いところで揺れていたのではないだろか。「よね山」はかつて「えな山」と呼ばれていたとあるが、もとは「よね」だとしたら、「よね→えな→よね」という転訛だと思える。
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