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2016/01/11

マライタ島とマキラ島

 ソロモン諸島のマライタ島とマキラ島の違いを掴んでおきたい。

 どちらも、地上の高い(沖の島)。死は「移行」の段階にある。棚瀬の資料からは、マキラ島のほうが転生信仰が強いようにみえる。

サー族のあいだでは、カツオとサメに対する信仰が発達している。成人式をむかえる若者は一時的に隔離され、その後、成人に達した男が少年たちとともにカヌーにのりこみ、カツオ釣りをおこなわせる儀礼がおこなわれた。少年たちやカツオ初漁のことは、ともにマラオフとよばれた。初物のカツオは神聖なものとされ、司祭のみがカヌー小屋で生食し、少年たちはこれを煮て食べた。

 サーの人びとによると、カツオをもたらすのはサメであるとされていた。サメには二種類あり、一つは人食いザメ、ワシで、人間世界とは縁のない恐ろしい存在である。もう一つは祖先の死霊そのものをあらわすサメ、パウエである。パウエは、サーの人びとの守護神的な存在で、人間とおなじような固有の名称がつけられている。すなわち、サメは祖先霊であり、人びとにカツオをもたらしたり、人食いザメから人間を保護し、あるいは水先案内人の役割をはたす。(秋道智弥『海人の民族学―サンゴ礁を超えて』)。

 これをみると、「人間世界とは縁のない恐ろしい存在」という人食い鮫の位相は、マキラ島(Aoriki)の鮫の位相と同じで、パウエの「守護神的な存在」は、マキラ島(Aoriki)のカツオと同じ位相にあるように見える。

 いままでの資料からはマキラ島において、鮫が祖先とされているのかどうかは確認されない。

ソロモン諸島のウラワの漁民やマライタ島のサー族は、海の霊のふるさとはサン・クリストヴァル(マキラ島-引用者)にあると考えている。(同前)

 これは面白い。転生信仰を発達させたマキラ島で、「海の霊」の概念は育ったのではないだろうか。

 以下、棚瀬の『他界観念の原始形態』から。

マライタ島

アカロ:夢で外出し、死で離脱。首長、戦士、成功者はサカ(霊力)を持ち、リオアになる。

死霊は、サアのある地点に泳ぐ。→Ulawa→’Olu Malau→サンクリトヴァルのHada→ガダルカナルのマラウ沖の二つの小島(Marape)。子供は死霊のひとつの島に住み、大人の死霊はもうひとつの島に住む。大人は子供の喧しさに煩わされない。死霊は島でこの世と似た生活を送る。この生活は永遠ではなく、一般人の単なるアカロ(霊魂)は白蟻の巣となり、より強力な死霊に食われる(P.169)

一般の人の死体は埋葬するが、骨が腐るとただちに取り出して、側に積み上げる。水葬もある。死者のココナツやパンの木は友人が切り倒す。


マキラ島

アダロ:影。人間の悪意あるやっかいな部分。
アウンガ:水や鏡に映る映像。平和なよい部分。

アウンガは、死の当日、あの世への旅に出る。アウンガには霊質の意味が強い。
アダロ:10日目の儀礼の、肉が腐り落ちる頃に身体を離れる。アダロはマナを持っている。頭蓋、石像、丸石、動物、魚、蛇、鳥、木に宿る。頭は生存中、生命の中心とされているから、頭蓋はアダロのよい住み家である。アダロは動物に憑く。鮫、蛇、亀、鷹などが多い。サンクリストヴァルの島人はアダロを崇拝する。

アタロイは近くの三つの小島に行く。

一般の人の死体は海に投ずる(コドリントン)。広場にさらし柵で囲んでおくが、姿勢は膝に手を置いた坐位(リヴァース)

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