「魚女房」と「人魚と津波」
『日本昔話通観』から、琉球弧の「魚女房」と「人魚と津波」の話を拾ってみる。
これを見ると、釣った魚は、「きれいな魚」とされることが多い。伊良部島では「えい」、「人魚」、池間島では、「小さなボラ」として釣れ、去る際には、「ジュゴン(人魚)」になっている。与論や粟国島で、「小さな赤い魚」と呼ばれるのは、沖縄島で、ジュゴンを「赤子魚(アカアングヮユウ)」と言うのを連想させる。
「ごちそう」をつくることが多く、また「龍宮」を出自とし、「龍宮の神の子(使い)」と称する場合がある。男は、コーイ鳥になることが多いが、「石」への化身を語る場合がある。
ここからは、「魚女房」という場合、必ずしもジュゴンが想起されているわけではないと思える。むしろ、エイは名指されている。
「人魚と津波」の場合は、「人魚」とされることがしばしばだ。池間島や多良間島の「ヨナイタマ」には目を引かれる。
石垣島や黒島では、実際に「食べた」結果、津波(大波)が起きている。
この例からも、必ずしも、津波がジュゴンとして必須であったわけではないことが分かる。珊瑚礁の海の霊力の姿として、焦点を結ぶひとつにジュゴンは位置している。
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