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2015/12/24

「よなたま」(稲村賢敷)

 稲村賢敷は、「人魚」について書いている。

 よなたまという魚は人魚の一種で顔に嬰児の顔を見るようだとも言い、鳴き声も嬰児のそれにそっくり似ている言う事である、友利、砂川附近では海の事を「よな」と言うんだと古老は語った、海に漁猟に行く事を「よなうり」と言い「よな下り道」「よな下り川」等という言葉がある、海岸地方の部落名に与那覇、与那越、よなんだき等の地名がある、が皆海に縁のある地名である、伊波普猷氏の「寄上げ魚場(なば)」の説からすれば寄魚(な)の詰った言葉で魚類の多く寄る海の意味に解すべきであろう、よなたまの名称は人間の顔に似ている所から「たま」という女性の名称を添えて海神の姫君という意味で呼称されているようである。(「宮古島庶民史」)

 地名の語源にもとづけば、ヨナは砂州を意味するから、「与那覇」「与那越」にしても、砂浜の発達した海岸だったはずだ。そこで、「よなうり」という言葉にも、砂浜の浜辺で準備をする漁夫の姿が浮かび上がってくる。

 「よなたま」は、砂州の海の霊力、もう少し言えば、珊瑚礁の海の霊力を指すのだと思う。

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