自己表出の展開(青木正次)
青木正次の自己表出の展開図から、文字以前の琉球弧の精神史に関わる箇所をメモしておく。
1.物理的融合(電子・原子)レベル
2.化学的合成(分子)レベル
3.植物的呼吸生・排気レベル
4.動物的食生・声レベル
5.母子的性生・うたレベル
6.王的権力生・ものがたりレベル
(「生命の自己表出史 1 原論」)
2.〔分子化合〕レベル
・すべてが「生きもの」として感じられるようになった世界相の感じ方。
・すべては生きているとかんじられるような世界のありようと感じかた。
ぼくたちの言葉でいえば、霊力思考そのものだ。
3.〔呼吸〕レベル
・「植物的な」生命というふうに感じる時の、世界の感じとり方
・自己表出が表現に転化した、初めの相。
・「イキをする=生きている」といった自己表出としての表現になる。
つまり、「呼気」が霊力の表現として見出されたわけだ。
4.〔食〕レベル
・「動物」生命として感知する
・食うことがそのまま食われることであるような、共動世界
・言語発生の機構、その始原にかかわる。
狩猟・採集の初期世界を連想させる。
5.〔性〕レベル
・食い食われる共動生命は、たがいを共鳴して感知する世界になる
・食う作動は共振する場を吐いて、生命じたいを包むように感知される。母胎
・食う作動は声を吐いて、そこに界像を含むようになり、その共鳴する生命は「うた」声をなす
・生命システムは「特定の空間内に実現していく」のである。
ここは、琉球弧でいえば、珊瑚礁の成立と定着以後に当たると思える。また、別の視点からは、親子婚、兄弟姉妹婚の禁止以後。
6.〔権力レベル〕
・生命は「我ら」という世界の中心位置にある観念をうみだして、そこに棲む。観察者としてあらわれる。
・母界像は、自然観念になり山林河海の環界が我らをムラから分離して、その周囲を囲むように現れる。
・異族という時間性の始源像がそこから去来するようになる。
御嶽の発生以降だ。霊魂思考の進展。世界視線の獲得。
| 固定リンク
« アジア的段階の入口 | トップページ | ユタの三冊 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント