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2015/09/27

「沖縄の御嶽草創由来にみる精霊信仰」

 赤田光男は、『琉球国由来記』をみると、御嶽には、先祖霊を祀る由来類型の他に、動物霊、植物霊、無生物霊を祀る由来類型もあると指摘している。

 1.半蛇半人霊

 宮古島の漲水御嶽。天神の恋角の化身である大蛇と人間の女性のあいだに生まれた三人の女子が島氏神となった(蛇婿入り)。

 宮古島の大城御嶽。天降りした天女と大蛇のあいだに生れた男女が始祖となる。(蛇婿入り、かつ、母子神)。

 2.動物霊

 駿馬、「速飯奔馬」が、首里城からの帰途、突然死亡し、埋めた。「やがて骨と鞭(むち)が石に化した」。この石が、アスイ森すなわち早飯森のイベである。駿馬の霊の依り代ないし神体石。

 アスイ森には、駿馬の埋葬地が御嶽となってとも記されている。

 「嘉手志川」は「犬」。宮古島の新城御嶽は「白鳥」。

 3.植物霊

 阿謝村の「ヨリアゲ森」は、松の樹霊が祭神。「樹霊の宿る聖林に囲まれた聖地内に、神の住むイビがある。イビの神体は石、木、貝殻などである」。

 これらの例を挙げて、赤田は書いている。

すなわち御嶽の祭神は、御嶽草創当初における御嶽草創地域の御嶽草創者の神に期待する心で決定するわけであり、人間霊や精霊、あるいは両者の習合霊が祭祀対象となることは自明であろう。それが長い歴史の流れのなかで変化するのは、人間の心の変化によるものであった。

 御嶽は、死者の居場所を封じ込めた結界のような場所だ。かつそこは、死者だけではなく、御嶽を建てる段階までに、信仰の対象となった自然も封じ込められていると思える。そこに、樹木や動物が含まれるわけだ。


『精霊信仰と儀礼の民俗研究-アニミズムの宗教社会-』

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