セジとシー
『沖縄の御願ことば辞典』から、霊力と霊魂に関する語彙を、セジ、シー、マブイ、タマシーに分けて挙げてみる。
サー<セジ> 霊。霊力
シジ<せじ> 神。神霊。不可視の霊力
ヌーシジ<美御せじ> 神様。セジの敬称。
シジダカサン<霊力高い> 霊力が強い。
ウミナイウシジ<おなりの霊> ヲゥナイガミの古語的な敬語
シー<精> 精。魂。
シー<セジ> 神。または神仏の霊力。多くは物についた霊力をいう。
キーヌシー<木の精> 木の神。木に宿る精霊。
マブイ<守り> 魂。人間の体内(胸部)に宿り、生命や精神作用などをつかさどると考えられるもの。
タマシー<魂> 魂。霊魂。死者の魂をいう。タマシ(精神)とは別。
クチタマ<骨魂> 遺骨のこと。敬ってミクチダマともいう。
クチマブイ<骨魂> 遺骨のこと。クチタマに同じ。
これをみると、セジーとシーは、同一語の転訛ではないかと言ってみたくなる。人間が他の自然と自身を区別する過程で、サーとシーと分離したというように。
タマシーは大和言葉の流入によるものと見なされる。骨の信仰に伴う語彙であることも、新しさを感じさせる。
さらに思うことは、琉球弧の霊力と霊魂は、セジとマブイと言っていいのではないかということだ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント