『“悪の論理”で世界は動く!~地政学』
タイトルは怖いが、サブタイトルの「日本属国化を狙う中国、捨てる米国」はもっと怖い。装丁はさらに怖い。しかし、この本は扇動的な本ではない。
琉球弧のことは対中国の話題として出てくる。
中国人の考えている世界観、ビジョンを、ひと言で言えば「失地回復」(スペイン語で再征服」を意味する言葉)である。
され、その唐の版図によれば、日本列島は「東夷」であり、中華の外の野蛮な地域と位置付けられる。しかし、沖縄は東夷と位置付けられていない。(中略)「沖縄はどこの国も属していない。だから、中国が獲ってもいいだろう」という戦略的な“悪の論理”である。
ただし、沖縄を手中に収め、東シナ海を完全に自国領域(内陸海)とすることで、日本列島を西側諸国に対する防波堤として緩衝地帯にしたいというのが本音である。もちろん、一度は日本に攻め込まれて、国の一部を遷居されているから、日本に対する恐怖心も潜在的に持っている。日本が再び軍事大国化しないとも限らないので、そうならないように、適度に国力をそぎながら、人的侵略によって自分たちの管理下に置いておこうと考えても不思議はない。“悪の論理”は、そこかしこに存在している。
なるほどそうであれば、いまの琉球独立の動きは、中国からみれば、しめしめに見えるだろうか。また、こうした推論は中国陰謀論の根拠にもなっているのだろう。
台湾を獲って、第一列島線をシーレーンとする場合、中国にとって懸案になるのが沖縄の存在である。
沖縄を獲れば東シナ海が完全に自国の内海になる。とはいえ、さすがに沖縄を軍事力で獲るわけにはいかない。日本から独立させて傀儡政権を樹立させるシナリオを考えている、というのが私の推論だが、本当にそんなことはあり得るだろうか。
もともと琉球王国には、二つの歴史書があって、中国語で書かれている歴史書には、「中国にいかにつくしてきたか」が書かれている。一方の日本語で書かれている歴史書には、「薩摩藩や幕府とうまくやってきた」と書かれている。
両国に朝貢をしていて、どっちにもいい顔をしていた。琉球王国には、そのような意外にしたたかな面がある。
小さい国だっただけに、大きい国の庇護を受けて国を成り立たせるしかなく、そういう面で鍛えられたのだろう。琉球王国は感覚的にサバイバル戦略に長けている。つまり、「中国についたほうが得」と思えば、沖縄独立もあながちないとは言えないのである。
独立論者は、傀儡政権を立てたいわけでも、「中国につく」という発想をしているわけでもないだろう。しかし、中国からみた場合、こう見えるという可能性は繰り込む必要はあると思える。
著者の奥山真司は、日本が選択すべき道として、
・日米同盟の維持
・中国による属国化
・日本の独立
を挙げ、三つ目しかない、と書いている。
アメリカの同盟関係の維持は先がない、中国による属国化はきわめて不幸な事態を招くとすると、遺された道はこれしかない。独立である。
奥山は険しい道としながらも、いくつか政策を挙げていて、そのひとつは、核廃絶のリードによる倫理的な優位性に立つことを謳っているが、共感できる。
啓蒙されることの多い本だったが、これを読んで、「『琉球独立論』を読む」でも書いたように、琉球独立運動が、日本の独立を促すことにつながるのが望ましいのではないかと改めて思った。
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