新シェーバ-第一印象記
シェーバーを交換した(たまにはこういう話題もご容赦を)。これまで使っていたのは、フィリップスの回転式の三枚刃。もともとブラウンのスチール網刃を使っていたのだけれど(といっても80年代から90年代にかけての相当、昔)、剛毛だからか、当てが強すぎるのか、網刃がパキッと割れてしまうのを何回か経験して、割れる心配のないフィリップスの回転式に代えたのだった。
ぼくの髭ときたら、堅くてしかも伸びるのが速い。学生のころに一度だけ伸ばしたことがあるが、三ヶ月でアルムのオンジ状態になっていた。当時、居酒屋へ行くと、髭を生やしたおじさんが近づいてきては、どのくらいでそこまで伸ばしたのか、よく聞かれたものだ。男性には、豊かな髭を蓄えたいという願望があるのだなと、そのとき知った。まぁ、もう一度機会があれば思う存分生やしてみたいと思うのだから、ぼくもその一員かもしれない。
ともかく、フィリップスの回転式も長いお付き合いをしたが、そろそろ切れ味も鈍くなっているのを認めざるを得なくなった。もともと身支度の律速段階は髭剃りというのが、成人以降のぼくの思い込みだった。だから、髭剃りは鏡に向かってするものではなく、スマホや本を読みながらするという、立派に、ながらを要求する作業だったのだ。それでも、だ。あるアンケート調査で髭剃りに10分以上かけている人は1割にも満たないことを知ったのは衝撃だった。大方の人は、3分、5分以内に済ませている、というのである。信じがたかった。剛毛を嘆けばいいのか、伸びる速さを諦めればいいのか。しかし、ひょっとして、フィリップスとの長い付き合いのせいかもしれない。何年も使っているから、剃り時間が延びているのに気づいていないのかもしれない。
そう思い直して、今回は、IZUMI VIDAN シリーズの、いちばん強力そうなシェーバーを選んでみた。山脈が四つ並んだような4枚刃を使うのはもちろん初めてだ。
私用で自宅を4日離れたが、その間は身内にしか会わないのをいいことに、横着して旅荷をできるだけ軽くするべくシェーバーも持たなかったので、4日分、伸びた髭を剃ることに。もちろん、前のシェーバーではゆうに10分を越すコースだ。
スイッチを押し当ててみると、剃れてるのかどうか覚束なかった。なにしろ、剃り音がしてない気がするのだ。これまでの経験から、剃れ具合いは、音で確かめていた。むしろ、音がする割にはなかなか進まないという気がしていた。それだから、音がしないのは、とても心もとない気がしたのだ。何か、効果的ではないやり方をしているのか、とスイッチを押してみると、往復音が増した。あとで見たら、ターボモードといって、より速く剃るためのものらしい。それを使ってもよかったのだけれど、初使いだから、標準でどうなるのか試したかったので、モードを戻してやってみた。
で、音が小さいのが心もとないのは変わりなく、さらにあちこちのスイッチや切り替えボタンを押してみて、色んな機能が付いているのは分かったが、肝心の剃り味はどうなのだろう。不安だ。
しかし、ふと鏡を見ると、髭が薄くなっている。あれ、剃れてる。ちょっとびっくりした。音が少ないのに、すでに結構、剃れている。そういうものなのか。ちょっと嬉しくなり、それからは音を気にせずに続けてみた。使い古したフィリップスでは、鼻下や顎から首にかけての剃り残し退治に結構な時間を使ってしまうのだけれど、それがスムーズに行っているのにも気づいた。これはいいではないですか。
ひと通り、これで充分と思って、記念にセットしてみたタイマーを切ると、9分9秒。10分を切ったではないですか。わずか、1分のことではあるけれど、あちこちいじりながらの髭剃りだったので、感触としては5分台でいけたのではないか。毎日の髭剃りなら3分以内も望めるかもしれない。とにかく、この4枚刃は、音が小さいのに剃れているのが一番の驚きだった。
パッケージをみると、「約4週間充電不要」とある。当分、定期的に旅する日々が続くので、これは頼もしい。その威力は、旅先で実感できるのを期待しよう。かくして、シェーバー交換は失敗ではなかったと安堵した初使いだった。
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