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2015/04/15

「生長する石」

 生成する珊瑚などを例に引いて、伊波普猷は書いている。

石の生長するという南島人の考えには、これが多分に影響したと見て差し支えなく、この「石の国」では子供ばかりでなく、年取った人までがそう信じている。

 これは、無機物にも生命を認める霊力思考によるもので、珊瑚の生成にかかわらない。琉球弧の思考のなかでも基層にあると言っていいものだ。

 マブイが戸惑うと、マブヤーと云うが、「語尾の母音の狭いのと広いのとで凝結と放散との感じがよく表される」。マブヤーを込めるときの作法を、伊波は書いていて、これが面白いのだが、長いので引用は諦める。まず、ウビー(若水)と根石の数個を椀に入れておくが、「彼はこの晩若水で生れ替り、根石の魂代を受けて血色がたちまちよくなると信じられている」ところがポイントだ。この根石は、マブイがしっかり落ち着くまでは、枕上におかれなければならない、とされている。水と石が重視されている。

 その他、泣く石の話、降る石の話。どれも面白い。伊波はこれを自分の見聞したこととして書きとめているのだが、彼の生きた時代は、不思議なことはまだがいくらでも起きたのだ。


『をなり神の島 1』

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