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2015/04/10

「トーテムと命名」(南方熊楠)

 南方熊楠は、トーテミズムについて、自問自答している。

 さて代々一種一類また数種類のトーテムを、一族中の各個人に命名した例が本邦にないかと言うと、あるともあるとも大ありだ。

 南方は、はしゃぐように嬉しそうに、自分の名前の「熊」と「楠」を説いている。この気分は分かる気がする。

辺鄙の民は以前苗字なき者多く、代々同名で牛とか馬とかで通じた例を控えておいたが、只今みえず。こんなこと、ことに賎民に多くて、一家を、一家全く同名ゆえ、大熊小熊、大亀跛亀など言って別った。

 これはまっすぐに琉球弧の童名にも当てはまることだが、ぼくも自分の童名にはひときわ愛着を抱いてきた。けれど、南方のように楠の木の前でうっとりするわけにいかないのは、童名が、「牛」のようには意味を明かしてくれないからだ。分かるのは、「マ」は、美称の接頭辞であることだけだ。いつか理解を届かせて、南方のようにはしゃいでみたい。

 「族霊」と「個人トーテム」という大胆な言い切りが気持ちいい論文だ。


『南方熊楠コレクション〈第4巻〉動と不動のコスモロジー』



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