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2015/04/19

「ウミアッチャー世」と「ハルサー世」  

 樋泉岳二は、「アマン世」のある時期を「ウミアッチャー世」とし、グスク時代以降を「ハルサー世」と名づけていて面白い。これは脊椎動物の遺体から考えられたものだ(「脊椎動物からみた琉球列島の環境変化と文化変化」)。以前に、整理した表に加えてみる(cf.「日本語形成におけるオーストロネシア語族の要素」)。

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 「ウミアッチャー世」は「海を歩く人時代」、「ハルサー世」は「野良仕事する人の時代」の意味。与論風にアレンジすれば、「ウミアッチャー世」は、ウンキバイの時代で、「ハルサー世」は、ウンパルキバイの時代だ。

 1.貝塚時代前1~前2期

 前1期はイノシシが大部分を占める。前2期から魚類が増加。珊瑚礁は発達過程だった可能性がある。

 2.貝塚時代前3~後2期

 「サンゴ礁周辺の漁を主とし、これにイノシシ漁を加えた様相が、後2期までの約3000年間にわたり安定して継続する」。

 前1期になぜ魚類がほとんど利用されないのか、また前2期になぜ急激に魚類利用が活発化するのか、その原因はよくわかっていない。樋泉は、「人間の文化・社会の側に何らかの原因があったと考えるのが妥当と思われる」としている。

 ここは、西田正規の「魚類は、人間が最も新しく開発した食料資源である」(『人類史のなかの定住革命』)という言葉が思い出される個所だ。

 3.グスク時代~近世

 飼育動物が出現し、魚類が減少する。飼育動物では、ウシ、ウマ、ニワトリが広く出土し、イノシシ類でもブタ(またはその可能性が高いもの)が増加する。

「ウミアッチャー世」までは未知であったウシという大型哺乳類がグスク時代初期に急速に普及した背景には。外部(おそらくヤマト)の人間による大量のウシの搬入および利用法(交配・育成、使役法など)に関する強力なインストラクションがあたことが想像される。

 与論で童名にウシがつけられるようになるのもこれ以降だ。牛の急速な普及は、童名のウシの急速な採用も促したのだろう。

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