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2015/04/07

「伸展位の埋葬」と「坐位の台上葬」

 樹上葬、台上葬を行う霊力思考優位の段階から、霊魂思考が強くなったとき、葬法がこうむる変容について、ことさら変容が明瞭なものに限定して例を挙げてみる(棚瀬襄爾『他界観念の原始形態』)。


 事例1.ニューアイルランド。家の中の舟棺に坐位を取らせて、石灰で塗り包んで屋根裏に吊るし、何年も保存する(p.201)。

 事例2.サンクリストヴァル。地面に掘った墓に伸展位で葬る。坐位で家の中または舟庫に葬る。

 事例3.エディストン島。死体を蹲踞の姿勢でさらす。しばらくすると頭蓋を取り去り、社に納める。

 事例4.ニューブリテン島のバイニング族。死者を埋葬するけれど、墓穴をふさぎはしない(p.206)。

 事例5.マリンド・アニム族。死体を地面にさしたサゴの木にもたせかけて安置し、全身を黒く塗り目だけは黄または赤に塗る。家の中の平常いたところに死体の長さ位の墓を掘る。埋葬後、若干日が経つと、再び発掘して死体を掘り出し骨を飾り、再び埋める。1年後に骨を取り出し、岱赭(たいしゃ)で赤く塗る。頭蓋を洗って赤く塗る。そして再び墓に納めるが、このとき胸の上にサゴを載せる(p.340)。

 事例6.トンガ人。伸展位で埋葬する。

 事例7.ザブブン族。死体は伸展位にして仰臥させ、頭を夕日の方向に向けて埋葬する。


 これらの例が語るのは、伸展位の地上葬が、「伸展位の埋葬」になるか、「坐位の地上葬」になるか、という変容がひとつある。次に、坐位で地上に置いた後、伸展位で埋葬する場合がある。

 前者は、葬法と姿勢のたすきがけを行っており、マリンド・アニム族では、たすき掛けしたものを両方、行っている。マリンド・アニム族はなにごとにつけやることが徹底している。また、マリンド・アニム族は、屋内葬が台上葬系譜の思考だということも教えている。

 琉球弧の風葬に多いのは、このたすき掛けの伸展位埋葬だと言える。

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