「強い霊力」と「弱い霊力」
琉球弧葬法の類型について、霊力、霊魂それぞれの思考の強さ、弱さで整理してみる(cf.「[改] 琉球弧葬法の6類型」)。
「死体放置」の場合は、ただちに遷居が行われるが、他界も死穢の観念も持っていない。国頭の阿波の例(cf.「南太平洋の死体放置」)をみると、「死体放置」は、定住後もなされたと考えられる。「琉球弧葬法の6類型」でいえば、1、3がこれに該当する。
「強い霊力」の場合は、風葬、洗骨の手続きを経る。食人や再生信仰を伴う。これも、定住後も存続したと考えられる(類型2、4)。
「強い霊魂」の場合は、埋葬あるいは埋められない埋葬の後に、頭蓋崇拝を行った(類型6)。
「強い霊力」と「強い霊魂」が混融した場合は、伸展位の埋葬が上記に加わる(類型5)。頭蓋崇拝が行われなくなると、6は5に移行する。
これでまた少し、琉球弧葬法の理解を深められただろうか。
ただ、これではまだ曖昧なところを残すので、「強い霊力と強い霊魂」の混融を細分化してみる。
これで分かるのは、仮に「死体放置」(#1)を行っていた種族が、定住後もこの葬法を継続した場合、台上葬後に再葬を行わなくなった場合(#3)と見かけ上、区別がつかなくなることだ。これを識別するには、種族の伝承に再生や食人、トーテム観念の有無を確かめることだと思える。国頭の阿波の例は、記述だけ見ると、「死体放置」のように見えるが、断定しにくい。
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