« 霊力思考と霊魂思考からみた時代区分 | トップページ | 生と死の分離としての死穢の発生 »

2015/03/12

弱められた再生信仰

 再生信仰が弱まり、子や孫、兄弟のなかに入るという形は霊魂思考の影響を感じる。この場合、葬法も埋葬になっているのではないかという仮説から、棚瀬襄爾の『他界観念の原始形態』の事例を追ってみると、果たしてそうだった。浅い埋葬あるいは埋めない埋葬という葬法と言ってよいと思う。


事例1.ユーアライ族

[再生]
・成年式を経ずして死んだ子供は再生すると信ぜられるが、再生は実母を通じても、他の女を通じても行われる。実母を通じて生まれたと信ぜられる子供をmillanboo(再び同じの意)という。老婦と結婚した年少の青年は、再生前に好きだったものだとも説明される。

[葬法]
・墓穴に樹皮、聖樹の葉を敷く。樹皮につつんだ死体を置く。土をかぶせる。


事例2.ウォンガ・ムラ族

[再生]
・死者の霊魂はやや離れたところにいて、兄弟に会い、その中に入り、兄弟が死ぬまでその中に住む。兄弟が死ぬ頃には忘れられてしまう

[葬法]
・埋葬だが、土でふさがず、木の枝をかけておくのみ


事例3.ウォンガ・マズ族

[再生]
・死霊は寡婦、兄弟または父の胸に住むけれど、しかも、ある土人によれば、それは叢林を彷徨し、最後には大きな洞穴に行き、さらに再生するという者もいる。

[葬法]
・埋葬。参列者はは墓側の湿土を身体に塗り、墓穴をふさぐ。


事例4.アルリッヤ族、マズダラ族

[再生]
・死霊wangaは叢に住む見えざる黒人である。Wangaは友人を助けると考えられる。しかし、再生の観念もあり。精霊児の夢で再生するという

・死霊は北方の島に行き、数ヶ月の後、黒雲とともに帰来して、息子、特に孫に入り、その生長を助成する。再び離れて死者の島に行き、離れたことを悲しむ。死者の西方に行き、しなの木の所に来て、これを回って眺めていると西方から雷雲が出て来て、この木に落雷し次いで霊魂が打たれ、降雨で木の根元に流れ、終わる。

[葬法]
・埋葬。墓穴を掘り、死体を墓の中に置き、草とアカシヤの枝で覆う。若干時が経ってから、砂と土で墓をふさぐ。

|

« 霊力思考と霊魂思考からみた時代区分 | トップページ | 生と死の分離としての死穢の発生 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/87956/60764063

この記事へのトラックバック一覧です: 弱められた再生信仰:

« 霊力思考と霊魂思考からみた時代区分 | トップページ | 生と死の分離としての死穢の発生 »