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2015/01/05

「シャーマンの仮面」

 エリアーデはシャーマンと「仮面」の関係にも言及している。

 トゥングースのあるシャーマンは、「マルの霊がその身にあることを示すために」、即席に仮面を作る。それは、「精霊界への呪的参加に関する基本技術である」。

われわれがこのように信ずるのは、世界の多くの地域において、仮面は祖先を表わし、その着用者はこれらの祖先に化身すると信じられているからである。顔に脂肪を塗ることは自ら仮面を被ること、つまり死者の魂に化身すると信じられているからである。顔に脂肪を塗ることは自ら仮面を被ること、つまり死者の魂に化身する最も簡便な方法の一つである。他の処では、仮面が男性秘儀結社と祖先崇拝とに関連していることもあるが、歴史的、文化的研究では、この仮面、祖先崇拝、およびイニシエーション的秘儀結社から成るこの複合は女家長制の文化圏に属し、秘儀結社は、この説明に従えば女性の優位性に対する反動であるとされている。
 シャーマンの仮面がごく稀にしか現れないといって、驚くには当らない。(中略)シャーマンの衣裳はそれ自身一つの仮面であり、元来仮面から由来したものと見做されるべきだからである。

 男性の秘儀結社が、「女性の優位性に対する反動」だというのは当らないと思えるが、仮面と顔に脂肪を塗ることは同一だとみなすのは正確だと思う。シャーマンの衣裳と仮面はどちらも、死霊の衣裳としての身体なのだ。

仮面はシャーマンの衣裳と同じ役割を演じていること、そしてこの二つの要素は相互に転換され得るものである、と結論することができよう。どこで使用されようと、仮面は明らかに神話的人物の化身を表象するものである。そのような意味で、衣裳はすべての人の眼前でシャーマンを変質させる。その存在が示そうとする卓越せる属性が、生き返った死者の威光(骸骨)であれ、飛翔能力(鳥)であれ、「天上の配偶者」の夫の条件であれ、シャーマンを超人間的存在に変えるのである(p.282)。

 強いていえば、シャーマンにおいて仮面の使用が稀なのは、シャーマンにとって彼の霊魂が神話時代へ遊行することが重要なのであれば、彼は彼自身の顔のままで構わない。むしろ、その方が彼の霊魂が問題であることがはっきりする。儀礼のなかの仮面では、仮面こそが衣裳として重要になる。仮面が、精霊であれ死霊であれ、その仮面の霊魂を指し示してくれるからだ。


『シャーマニズム 上』


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