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2015/01/12

脱魂・憑霊現象の展開

 間違いは修正していくとして、整理してみる。霊魂思考の発現は東南オーストラリアに見られる。ここで高神は発生した。同様のことは、北方、中央アジアにも見られる。そして北方、中央アジアにおいて、「脱魂」による病気治療が発達した。この段階では、共同幻想と自己幻想、対幻想を未分離の状態に戻して神や精霊と交渉し、共同幻想を統御することが可能だったのだ。脱魂が神話時代との交流を可能にすると見做されているのも、その現れだ。

 ただし、東南オーストラリアの高神が、伸展位の埋葬を根拠にしているのに対して、北方、中央アジアでは乾燥葬を中心に、埋葬、火葬も見られ一定しない。というより、伸展位の埋葬が支配的ではない。絶対的なパラメータである自然環境によって埋葬は忌避されたのかもしれないし、すでに乾燥葬の影響を受けた後なのかもしれない。現に、明瞭ではないにしても、再生信仰も見られる。

 再生信仰は、中部から北部にかけたオーストラリアで発生している。再生信仰の元になっているのは霊力思考だ。ここにおいては、病気の治療は病因の抜き出しによってなされる。

 初期の農耕において生と死は分離し地下の他界が発生する。けれどこれはそのままでは、高神の発生を意味しない。それには、頭蓋崇拝が家族を抜け出して共同化される必要がある。この段階では、「脱魂」は既に難しくなり、シャーマンの自己幻想を共同幻想に同調させる「憑霊」が行われる。病気治療に当たっては「憑霊」による抜け出した霊魂の捕捉が行われるはずだ。

 そしてもうひとつ、ここに霊力思考が混入すると、悪霊を払うという観念とその治療が行われるようになる。また、「憑霊」が困難になり、対幻想が独自になると、共同幻想を対幻想の対象とする巫女が発生する。

 琉球弧では、憑霊を行う巫覡と巫女が活動した。そして、母系制の強まりとともに、両者は女性へと集約されていくようになり、彼女たちは「憑霊」シャーマンと巫女の二重性を帯びる。「憑霊」の比重が高い存在はユタとなり、巫女の比重が高い祝女は政権に関与し巫女の比重を高めた。

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