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2015/01/17

「シャーマニズムと狂気」(森山公夫) 2

 もうひとつ森山は興味深いことを書いている。シャーマンのイニシエーション(入巫礼)は、通過儀礼としての成人式(加入礼)の手本になっている。エリアーデが挙げたその特徴は以下の五点。

 1.家族からの隔離と森林地でのひきこもりの生活。
 2.イニシエーションの小屋。これは母親の腹を意味する。
 3.死のシンボリズムに関する儀礼。拷問。
 4.特殊な手術。割礼や下部切開。新たな名前をつけられる。第二の誕生。
 5.あるところでは、「人を殺せ」という命令。首狩りや食人(カニバリスム)。

 これは、ぼくたちも以前、見てきたことだが、森山はこう書いている。

 この尋常ならぬ過酷さは、おそらく過去の人類形成史上の或る不幸な過程の表現である以外にない。つまり、個人史での幼児期への過酷な告別と再生に相当するのは、人類における「楽園」追放の神話であると思われる(「シャーマニズムと狂気(3)」『精神医療 74号』)。

 これはとても大胆だが、説得力がある。「思うに成人式におけるあの過酷な成人化の過程は、この人類がたどった失楽園の過酷な過程に相当する。つまり、ヒトが猿人として立ち、原人・旧人へと石器を開発してゆく困難に満ちた過程はまさに失楽園へと至る道程であり、これをj個体の困難として再現し体験するのがこの成人式である、とも云える」。

 証明はできないことだが、納得がいく。植物や動物から自己を区別していった痛みをイニシエーションは示しているわけだ。


『精神医療 74号: 特集:ピアスタッフの現在と未来』


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