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2014/11/21

死者儀礼のなかの仮面

 仮面は死者の表象であることを示すメラネシアの例。

 事例1.アスマット族(ニューギニア南西部)。

 ジパエの儀礼の仮面は、極度に神聖化され、それを指し示す名称が存在しない。それは主な材料として使われる樹皮の名で呼ばれている。ジパエの儀礼は、首狩りの犠牲になったものの死霊を追い出すことにある。仮面はそれぞれ一人の死者を表わし、村の男たちによって村から追われる。朝になって死者が再び戻ってこないよう、男たちが仮面に戦いをいどみ、仮面は死ぬ。死者に対する生者の象徴的な勝利で儀礼が締めくくられる(p.12、『メラネシアの美術』

 事例2.トレス海峡西部諸島プル島。

 「死者の踊り」を行う。近死の数名のために、その数だけの役者によって行われる。祭場に囲いをし、スクリーンを設けて太鼓を置き、近親を呼び入れる。役者の装束は、ひそかに森の中で整える。女や未成年者は見てはならない。準備が終えると、人々が集まり、男は前列、女は後列に座る。仮面をつけた役者は、おのおの代表する男女の死者のしぐさや声を真似、ふつう二人ずつ踊るが、真に迫って深い興奮を巻き起こすため、時には喜劇風にこの昂奮を解きほぐす。太鼓の音が劇のはねたのを知らせると、大葬宴が催されるが、その際、死者の家族は、食事の特別の部分を役者に呈する。ハッドンによれば、この劇の意図は、死者が生きていることを示すもので、死後生活の確信が遺族を慰めるのであるという。(棚瀬襄爾『他界観念の原始形態―オセアニアを中心として』

 事例3.ニューアイルランド島北部。

一連の儀礼とその儀礼で使用される仮面や彫像を包括的に指し示すのに、マランガンという呼称が用いられる。 マランガンの儀礼は、基本的には死者を悼む葬送儀礼であるが、同時に少年たちのイニシエーションも兼ねている透かし彫りを多用した複雑な構造を持つ仮面や彫像などは、個々のマランガンの儀礼毎に何ヶ月もかけて制作される。 しかし、儀礼が終われば, それらの仮面や彫像は廃棄されるか朽ち果てるままに置かれるかのいずれかである。((「仮面とプリミティヴィズム」~プリミティヴ・アートとしての仮面の魅力~梅本涼)

 事例4.マリンド・アニム族(ニューギニア中南部)。

 Mojo Imo という秘密結社があり、その団員の死去のさいには、特別の祭儀が行われ、特定の役者(dema wiel)が登場し、神話や死去際してのdemaの役割、あの世への旅を表現した芝居を行う。(棚瀬襄爾『他界観念の原始形態―オセアニアを中心として』


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