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2014/10/14

「地下の他界に伴う霊魂観念」

 棚瀬襄爾の『他界観念の原始形態―オセアニアを中心として』から。

 地下信仰を持つ先住民では、死者に対する関心が著しく高まる。埋葬後の複葬、洗骨、頭蓋保存。霊魂の遊離性と人間形態的な霊魂観。対人儀礼も発達し、死霊は見えざる社会構成員ともなる。

 南部メラネシアの地下信仰を持つ先住民。頭蓋を供養して、病気治癒、豊作、豊漁を祈ると同時に、死霊の村送り、追い払いの儀礼を行う。愛着と恐怖。定住生活との関係。

 死霊の遊離性の観念に伴って、生者もまた肉体と霊魂よりなり、霊魂が中心であるという観念が成立する。北部メラネシアに顕著。食物の供養や副葬は南北メラネシアを通じて見られる。

 ニューギニア。病気や死の原因が、霊魂の離脱によるものと見なす。


 琉球弧ソバージュのひとつのプロトタイプとして、地下他界があったと見なしてよいのではないかと思える。埋葬、複葬、洗骨、頭蓋崇拝、祖先崇拝、死霊への愛着と恐怖、霊魂の離脱による病気と死の複合観念である。

 動植物への転生から人間への再生信仰へと至る場合と、トーテミズム原理の崩壊により祖先崇拝へと向かう場合は別になるはずである。ベレプ諸島は、祖先崇拝で、あの世の生活を観念しているが、転生、再生信仰はない。ニューカレドニア島南々東部の先住民の祖先崇拝では、死者が白人に化現するという信仰もある。これは西洋人との接触以降の信仰だろうが、両者が同居して表れる場合もあるということだ。

 しかし、原理的にいえば再生信仰が旺盛なら死者に対する儀礼は発達せず、再生信仰がなければ死者に対する儀礼が発達するはずである。琉球弧ソバージュの場合は、祖先崇拝があり、再生信仰が強まり弱まる段階があって、ふたたび祖先崇拝が強くなったのではないだろうか。祖先崇拝の方が長いと考えることになる。

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