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2014/10/17

スルカ族の葬法と他界観念

 棚瀬襄爾の『他界観念の原始形態―オセアニアを中心として』から。


 スルカ族(ニューブリテン島)。

 ◇葬法

 死者の作物を荒廃させ、若い果樹を切り倒す。成熟した果物は遺族に分配する。豚を殺し、その肉も同様に分配する。もし富者であれば、その妻は殺されることがある。死の翌日に埋葬する。家の中に墓穴を掘り、死体を坐位にして埋める。死体の上部を地上に出す。親族は男女別々に若干期間、死体の傍で寝る。

 のち、しばらくして死者の霊魂を追い払う。その時期は死者が聞いてはいけないので、内緒話で決める。追い払いの前晩、たくさんのココ椰子の葉を集める。翌朝、ある鳥の鳴き声を合図に、寝床から起きて喚声をあげる。壁を打ち、柱をゆさぶり、枯れたココ椰子の葉に火をつけ、最後に道に飛び出す。この時、死霊は家を離れる。

 死体の肉が完全に腐ると、骨を墓から取りだす。その後、葬宴を催す(p.205)。

 琉球弧ソバージュでは、酒井卯作によれば、追い払うのは死霊でなく悪霊(ムン)だった。魔術という人との関連はなく、悪霊だと考えられている。しかし、追い払いの激しさは、とても似ていると思える。(cf.「30.「モノ追いにみる死霊」

 豚を遺族に分配するのは、もともとは死体の肉だったかもしれない。


 ◇他界観念
 流星は高く上がった死霊が海に水浴にくるのだとし、星の尾は死霊を追う時に焼いたココ椰子の葉であるとする。海の燐光は水に戯れる死霊であるともいう。

 スルカ族は、星と死の意味づけが濃い。ただ、地下界の表象はある(p.183)。地下界観念のある可能性が高い(p.254)。「他界は地下のみであり、死霊は夜、きわめて恐れられる」という報告もある(p.254)。これは例外的で、北部メラネシアは地上他界の観念を持つ。

 社会は母系的(p.267)。

 地下界信仰を持つ南部メラネシアの民族は、母系社会で農耕民族。母系的な農耕民によって地下界信仰が抱かれた(p.771)。

 スルカ族が該当するか、わからないが、ニューブリテン島は、トゥブアン、ドゥクドゥクの儀礼が行われている地域でもある。


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