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2014/10/16

ヤビム族の葬法と他界観念

 棚瀬襄爾の『他界観念の原始形態―オセアニアを中心として』から。


 ヤビム族(ニューギニア)。

 ◇葬法
 老衰死のほかは自然死はなく、魔術によるものと考える。魔術師の卜占し、復讐をする。 

 死者は家の近くの浅い墓穴に埋葬される。死者が家長または妻であるときは、家が立派でも棄てる。墓上には仮小屋をつくり、死者の家族は6週間ないしはそれ以上そこに住む。

 残された夫は人から見えぬ片隅に一人で住んで、身体を洗わず外出もしない。ふたたび外出できるようになると、喪帽をかぶり、寡婦は大きな網をかぶる。服喪期間は数ヶ月から数年までさまざま。

 愛児や重要人物の場合は、埋めずに包んで腐るまで家のなかに置き、頭蓋等に油を塗り赤く染めて若干期間、保存することもある。奥地の村では、寡婦は夫の死に随伴するために殺されることがある(p.326)。

 寡婦がかぶる大きな網は、琉球弧ソバージュにおいて、死体に被せる網を思わせる。死霊からのシールドの意味をなしているのかもしれない。子の場合に、頭蓋骨を赤く塗るのは、やはりこの行為が再生信仰を意味しているのだと思う。


 ◇他界観念
 死霊は、あの世では影のように、この世の延長の生活を送る。他界の位置はシアシ諸島のひとつ。死者の霊魂は、動物に転生するという観念もある。水鏡にうつる姿としての霊魂はシアシ島に行き、陸に映る影としての霊魂は転生する。

 死霊は帰来することがあるので、死後数日は特に恐れられ、死者の名前も呼ばない。死者に食べ物を供するが、死者はそれらの霊魂だけを食べるので、実際には生者が食べる。死霊を忌み恐れる気持ちが強く、特に殺された人の霊魂は恐れられ、危険な霊魂は太鼓を打ち、喚声をあげて駆逐し、模型の舟にタロ芋と煙草をのせて、あの世の島に出してやる(P.290)。

 アボリジニの沈黙の掟もそうだが、死者の名前を呼ばないのは、死霊との関係を断絶させる仕草だと言える。

 

 

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