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2014/09/26

トゥブアンとドゥクドゥク

 ニューブリテン島のトゥブアンとドゥクドゥク。

 トゥトゥア祭り。ドゥクドゥクが太鼓を叩くと、トゥブアンが踊りはじめる。日常語とは違った秘密の言語で歌う。続いて、二ドック祭り。これが少年たちの入社式。集会地に入ると、トゥブアンが棍棒で若者たちを叩く。それを合図にドゥクドゥクが若者たちに襲いかかり叩きのめす。結社員は、若者たちにドゥクドゥクの踊り方を教え、祭儀の秘密を漏らせば酷刑に処すると脅す。この日の真夜中に、トゥブアンの叫び声と太鼓の轟が村に聞える。新しいドゥクドゥクの誕生が知らされる。

 新入結社員もドゥクドゥクに仮面仮装する。夜明けとともにトゥブアンは新しく生れたドゥクドゥクを従え、森を取って巡りあるく。一行に出会ったものは、昔は殺された。一行は、海岸に出て海から村に上陸する。一行は公開祭場にいたり、そこで女性や子供に示威する。最後にドゥクドゥクの仮面は壊され、仮装は焼かれ、今年のドゥクドゥクは死ぬ。トゥブアンは小屋に入ってつぎに生き返るまでひきこもる。(『異人その他―他十二篇』)。

 岡が参照している書籍に当ると、少年たちの試練は2週間にわたるとある。

The day before the Duku-Duk's expected arrival the women usually disappear. or at all events remain i their houses. It is immediate death for a woman to look upon this unquiet spirit.
Before daybreak every one is assembled on the beach, most of the young men looking a good deal frightened. They have many unpleasant experiences to go through during the next fortnight, and the Duk-Duk is known to possess an extraordinary familiarity with all their shortcomings of the preceding month.

The last day on which the moon is visible the Duk-Duk disappear, though no one sees them depart; theirr house in the bush is burned, and the dresses they have worn are destroyed.
(Hugh Hastings Romilly「The western Pacific and New Guinea」

cf.G.Brown:「Melanesians and Polynesians; their life-histories described and compared (1910)」

Rivers: 「The history of Melanesian society (1914)」


 トゥブアンはドゥクドゥクの母で女性とされている。

 マヨ祭儀において、マヨの母、あるいはマヨの娘として少女が殺害されたが、トゥブアンの祭儀では殺害されることはない。トゥブアンの子、ドゥクドゥクが祭儀のなかで毎年、死ぬ。トゥブアンの祭儀は、マヨ祭儀の後の段階に当るものだ。

 マヨ祭儀は、男子結社員のみで行われ、女性の殺害を持って終わる。トゥブアン祭儀においては、ドゥクドゥクが死ぬ。マヨ祭儀のマヨの母(娘)の役割は、トゥブアンとその子、ドゥクドゥクが担う。ドゥクドゥクは、殺されるマヨの母(娘)で、トゥブアンは穀物として再生したマヨの母(娘)の表象であり、これがトゥブアンが女性であることの意味だ。

 トゥブアンでは、女性や子どもたちに姿を現す場面を持っている。というより、それはトゥブアンが人目に触れる機会になっている。若者の入社式に最初に現れ、通過儀礼を果たした後、女性や子どもたちの前に姿を現す。

 トゥブアンが女性神のみではなく、男女二神になれば、もうアカマタ・クロマタと同じである。


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