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2014/07/03

ヒメ-ヒコ制、メモ

 ヒコ-ヒコ制とヒメ-ヒコ制。日本列島における初期の統治形態の場合。

 「男・男」の場合、年長者が神事を担当し、若いほうが地上を治めた。
 「男・女」の場合は、女性のほうが神事を司り、その夫なり、姻戚関係にあった男が地上を治めた。
 このふたつのパターンが分立していたように思います。
 『古事記』にはこの二類型が最初から出てきますから、おそらくこのふたつが日本における共同体のあり方、つまり国会以前の国家のあり方だったと考えられます。(吉本隆明『日本語のゆくえ』

 神武東征のなかで長男である五瀬命が宗教的な神事を司り、若御毛沼命(神武天皇)が地上の統治を司る。神武の勢力が大和の国に盤踞したとき、その地域にはすでに「男・男」の共同体も存在していた。

 その他、諏訪の大祝(おおはふり)。神事を司る大祝は男、地上の支配者も男。大三島を根拠に瀬戸内海を支配していた河野水軍も、兄が神事を司り、弟が海賊的な行為で支配(『瀬戸内軍事史』)。河野水軍は、のちに倭寇として恐れられる。和歌山の枯木灘も水軍が発達。村対抗のカヌー競争。

 邪馬台国の卑弥呼の場合は、女がシャーマン的な神権を握り、兄弟なしいは夫が政治的な権力を掌握。

 琉球弧の場合、聞得大君と国王は、初期には、姉妹が聞得大君になるが、次には王妃に変わる。この背景には父系の強まりを見ることができる。

 「男・女」の象徴的なケースは、姉・弟の形を取る。「男・女」が、姉が神事、弟が地上というように「姉」と「弟」となって現れるのは、日本本土の場合、アマテラスとスサノヲのように、神話時代に押しやられている。

 アイヌラックルでは、山城の奥深くで姉(巫女)にいつくしまれて育てられたのち、悪神を退治し、姉のすすめる女性を妻にする物語がある。そしてアイヌラックルは『記』『紀』のスサノヲの伝説によく類似しているとおもえる(吉本隆明「表出としての神話」「南島論」)

 琉球弧のなかでは、「姉・弟」の形は、ユタ、ノロの伸長とともに多く出現したと思えるが、神話や民間伝承のなかにあるかどうかは知らない。『中山世鑑』において、アマミクだけが神話に登場するのは、その痕跡かもしれない。与論のアージニッチェーでも、ニッチェーは兄でインジュルキは妹だ。
 

『日本語のゆくえ』



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