« 添寝から共寝へ | トップページ | 祝女・聞得大君・天皇 »

2014/07/12

「古宇利島の聖地と折目」

 「古宇利島の聖地と折目-沖縄の民俗宗教ノート-」(伊藤幹治)。

 古宇利島には七つの聖地がある。「七森七嶽(ナナムイ・ナナタキ)」。人間起源神話と関連しているのは、マーハグチ、ハマンシ、フトゥキ・ヌ・メー。ハマンシ、フトゥキ・ヌ・メーは、二人の男女が天から降りてきて住居を構えたところと言われている。マーハグチは、もっとも重要な御嶽。神女の祭儀が行われた場所(cf.「添寝から共寝へ」)。

 「二人の神職」とは、ミチ・マーイ神と呼ばれる女性神役。

 海神祭。「アサギ」の広場で、神役のひとりが供え物の菓子(以前は餅)を弓のさきで突きさし、それを高くさしあげると、女性神役のヤトゥーバル神が、それを弓で地面に落すという所作が行われた。これは、天の神様が餅をおろしてくれたという始祖神話の伝承の再現。

 古宇利島の聖地と折目の問題について、もうひとつ注目したいと思うのは、この島の社会のなかに、始源志向ともいうべき論理が潜在していて、その論理によって、いくつかの宗家がいくつか存在し、その宗家を出自の原点として、いくつかの「門中」という父系出自集団が形成されている。そして、島の人びとは、宮城屋(ミャーグスク・ヤー)を現存うる根所のなかのもっとも古い家とみなし、そのほかの根所を宮城屋から分岐したものと考えている。
 古宇利島の人びとが、元旦の初拝みや春秋の彼岸に、神話的元祖を祀っている「マーハグチ」といっしょに、宮城屋に祀られている先祖を拝んでいるのは、この根所に祀られている先祖が、島民全体の始祖にあたると考えているからであろう。また、女性神役のなかで、主導的な役割をになっている祝女とウチ神が、宮城屋を宗家とした「門中」から選出されるようになったのも、古宇利島の「門中」の宗家のなかで、宮城屋が各宗家を統合するセンターとして認識されているからであろう。

 古宇利島は、御嶽が神の場所であり、御嶽に接続する根人の根所をもとに集落が展開されていった、都市展開の模型を保存した島であると考えられる。しかも、それが始祖神話の世界観のなかにあることが、保存の純度を物語っている。


|

« 添寝から共寝へ | トップページ | 祝女・聞得大君・天皇 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/87956/59483574

この記事へのトラックバック一覧です: 「古宇利島の聖地と折目」:

« 添寝から共寝へ | トップページ | 祝女・聞得大君・天皇 »