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2014/06/08

「オボツ・カグラをめぐる問題」

 吉成直樹の『マレビトの文化史―琉球列島文化多元構成論』(1995年)。「オボツ・カグラをめぐる問題」。

 オボツという言葉は、与論では耳にしたことがないのでな馴染みがないのだが、樹上葬、台上葬が分布する地域とほぼ重なりあうという(p.146)。樹上葬の伝承は与論にもあるから、そこが接点だということになる。

 大林太良によれば、樹上葬は、人間を再生させるために天神に捧げるもので「骨からの再生」という観念に基づく。樹上葬が記録されている『南島雑話』でも、天上他界にかかわる葬制として捉えられているから、樹上葬は天上他界観に支えられている。

 オボツは御嶽との結びつきを持ち、オボツ信仰が、聞得大君を頂点とするノロの祭祀組織と関わっていることから、「オボツは天上界を意味する言葉として、また琉球王府の支配体制の基礎をなすイデオロギーとしって、ある一定の影響力を持って、民間に下降・展開したということになる(p.144)」。

 大林太良は、樹上葬が北アジアの狩猟民文化に典型的にみられ、また、朝鮮では「天然痘など特定の病気で死亡した場合に限り、樹上葬を行う」ことから、日本の樹上葬は、北方的な文化の系譜を引くことを指摘している(p.147)。

 琉球弧における北方的文化要素といえば、樹上葬だけではなく、鉄器やアマミキヨがあり、また、琉球王朝も北方からの勢力によるものという説ながある。そこから、吉成は、「天上から降臨する神の観念が、琉球王朝の支配イデオロギーとして洗練され、やがて民間に下降・展開することになったと考えられるのである(p.152)」としている。

 ぼくたちの問題意識を添えておけば、樹上葬は、この北方文化の要素の南下によって導入されたとして、洞窟他界と海上他界の視線を持った琉球弧が、12世紀の、この南下の前に、天上他界という観念、これは山上他界でもいい、を持っていたかどうかということだ。

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